日本会議通訳者協会のHPで連載を始めました
会議通訳者の山本みどりです。 普段は日英の通訳者として会議や商談などの通訳をしている私ですが、この度 なんと……
日本会議通訳者協会(JACI)のホームページにて、『はじめてのサイバーセキュリティ』という連載を始めました。
通訳者の私が文章を書く?書けるの?……と正直不安で一杯でしたが、なんとか第1回 の連載を書くことができました。 連載に至る背景と文章を書くために奮闘する様子をご覧ください。
背景
増え続けるサイバー攻撃
あまりニュースで取り上げられることは多くありませんが、実はサイバー攻撃は増えています。国家間の戦争が実地ではなくサイバー空間に置き換わってきています。民間企業を標的にした攻撃も数多く行われています。
しかし、それを公にしてしまうことは攻撃者に手の内を明かしてしまうことも意味します。また民間企業にとっては風評被害や株価下落にもつながったりもします。ですので、多くの組織はサイバー攻撃を受けていても、一般市民への直接の影響がない場合は公表しないことが多いのです。
そんなサイバー攻撃の増加を受けて、日本企業もサイバーセキュリティにより力を入れるようになってきています。サイバーセキュリティを実現するための製品の多くは外国のベンダーによって作られていることから、外資系ベンダーが日本の顧客企業を訪問して、製品やサービスを提供したりしています。そこに付随した通訳のニーズも高まっています。
そこで、サイバー攻撃の背景、攻撃者、攻撃手法、防御側、通訳業務などについて、去る4月22日にJACIの遠隔セミナーにてお話ししました。そしてこの度、連載をする機会もいただいたというわけです。
効率よく文章を書きたい!と奮闘中です
それにしても苦労しました。遠隔セミナーの内容を考えるにも七転八倒しましたが、まとまった文章を書くというのはそれ以上の難行でした。
なにせ通訳を生業とするようになって15年、人様のしゃべる言葉をひたすら訳して伝え続け、自分の考えなどまともにまとめたこともなければ、特定のトピックに関して自分の言葉で他人にきちんと伝えようとしたことなどなかったからです。通訳ばかりやっているうちに、他人が次に何を言うかという予測の精度はどんどん上がりましたが、自分のこととなると「ボキャ貧」になっていました。
文章を書くためのツールを試してみた
それでもこの1年くらいはブログを書かなきゃいかん、ということも頭にあったため、いわゆる「発想術」「文章術」と呼ばれる情報にはアンテナを立ててきました。
マインドマップ→発展させられず……
なかで特に印象に残っていたのが「マインドマップを書いて、Crappy first draftをまずは書くのよ!」という教えを説いていたDaphne Gray-Grantさんと、アウトライナーの達人Tak.さんでした。
最初にDaphneさんの言うようにマインドマップを描いてから、「ひどくてもなんでもまずは文章を書いてみた」のですが、そこからどう発展させたらよいかわかりませんでした。
身内からのアドバイス→有効!
そこで家庭内編集者(夫のことです) に見せてみたところ、強烈なダメ出しを食らいました。文字数もまったく足りていませんでした。
そして「せっかくセミナーで作った資料があるのだから、それをベースにすればよい。いまから新しい内容を考えようとするな」というアドバイスをもらいました。
その後はひたすら、書き足しては見てもらう、というプロセスを繰り返して、完成に至りました。
アウトライナー→箇条書きの羅列だけで終了……
Tak.さんの「アウトライナーから文章を書く」という術も、『アウトライナー実践入門 ~「書く・考える・生活する」創造的アウトライン・プロセッシングの技術』を参考にやってみたのですが、どうも「箇条書きの羅列」から「文章」に移行するのがうまくいきませんでした。
とりあえずアウトライナーは見出しとして使用したほうがしっくりくるかも、でもそのまま文章にコピペできるものもあるかも、くらいに柔軟に考えた方が書けるような気がしました。
文章術は人それぞれ
そのほかにも、『うちあわせCast』というポッドキャストで倉下忠憲さんとTak.さんがいろいろ話しているのを聞きました。
そして、「文章術というのは人の数だけあるものだ」ということを知りました。また、「とにかく書く。書いてからどうするか考える。書く前にあがいてもどうしようもない」ということも実感しました。
ちなみにアウトライナーとして愛用しているのはDynalistというWebサービスです。スマホアプリもあります。
文章を書くのはWordで、今回から初めてアウトライン機能を使っています。また、ネタ出しにScrapboxというWebサービスも使っていますが、今のところまったく使いこなせていません。
こんな舞台裏があった第1回ですが、ただいま絶賛公開中です。ぜひご一読ください。