日本語に訳しにくい英語表現:”journey”の意味と使い方

会議通訳者の山本です。

通訳者が解説する英単語シリーズ。今回は”journey”を取り上げます。

“journey”といえば、子どものころに流行った『センチメンタルジャーニー』を連想します。(古い……)

さて、「journey=旅」と思っている方も多いかもしれません。しかしビジネスの現場や、ネイティブが使う”journey”は全然違います。

“journey”の意味

“journey”には、もちろん「旅」という意味もあります。

まずはOxford Dictionaryに掲載されている意味を見てみましょう。

(下記引用)

an act of travelling from one place to another.

example: an eight-hour train “journey”

Oxford Dictionary

どのようなニュアンスで使われるか?

直接的な「旅」の意味以外でよく使われるのは、「長きにわたるプロセス」のような意味合いでの”journey”です。

再びOxford Dictionaryを見てみると、こうあります

a long and often difficult process of personal change and development

(拙訳:個人的な変化や発達の長期的でしばし困難な過程)

Oxford Dictionary

Macmillan English Dictionaryも見てみましょう

(literary) a process of changing and developing over a period of time

(拙訳:長期間をかけて、変化したり発達したりする過程)

example: spiritual journey, our journey through life

Macmillan English Dictionary

私が初めて”journey”のこの使い方に目をとめたのは、こんまりさんのNetflix番組でした。世界的に大ヒットしたTidying up with Marie KondoのSparking Joy After a Lossというエピソードのなかで、こんまりさんが「お片付けのお手伝いができてうれしいです」と発言し、通訳者の飯田さんが

I feel so fortunate to be able to go on this journey with you.

と訳されていました。

なるほど、片づけとは、パッとやって終わるものではないし、痛みを伴うこともある、簡単ではない過程……だから”journey”なんですね。これは日本語から英語への訳出ですが、なるほど!と思いました。(それ以外にも、この番組全体で飯田さんの通訳が素晴らしく、とても勉強になりました)

それ以来、英語を聞いていると、”journey”がこの意味でよく使われていることに気が付きました。一朝一夕で何かを身につけるということではなく、ながーい時間をかけて身に付けたり、変わっていくことをいうんだ、と実感しました。

日本語から英語に訳す際のコツ

「過程」や「長い道のり」という言葉が明示的になかったとしても、そういう意味合いが含まれていると感じたら”journey”を使って訳すといいでしょう。

前述の「片付け」を”journey”と訳したのもそのいい例ですね。

ビジネスでは、ここ数年来「DX」、つまりDigital Transformationを進めましょう、と盛んに言われていますが、DXに対する取り組み、のようなものを指して”DX journey”ということができます。一日で成し遂げられることではないですからね。

英語から日本語に訳す際のコツ

前述のように日本語で明示的でなかったとしても英語では”journey”と訳すとメリハリの利いた英語になります。ということは、英語から日本語に訳す際は”journey”という言葉を訳すと若干ぎこちないというか、英語っぽい日本語になる場合もあります。

例えば”DX journey”と言われたときに、直訳では「DXジャーニー」、「DXという長い道のり」と訳すことができますし、これでも間違いではありません。思い切って、”journey”の部分を割愛して訳しても日本語として自然な場合もあるでしょう。

今回は、”journey”の使い方に注目をしました。個人的には、長く続く道のり、long and winding road……のようなイメージでとらえている言葉です。