プロだからこそ、お金を払ってでも泥臭い努力でアップデートを続ける必要があるんだなぁ、だって人間だもの……みつを。

通訳学校に通っていた時、日本人講師が「ネイティブの英会話講師のレッスンを受けている。そこで疑問点をぶつけている」という話を聞いたことがありました。とても驚きました。

そのときは放送通訳の講座だったので、その先生はアメリカの政治や文化などについて具体的なことを聞いていたのかもしれません。もしくは、英語の細かいニュアンスについて聞いていたのかもしれません。

今となっては、その時の衝撃だけをよく覚えています。プロになってもそんな泥臭い努力が必要なのか、と。

でも実際日々現場に立っていて思うのは、プロとしてやっているからと言って何もかもを理解しているわけではありません。日々疑問も出てきます。

プロ講師である以上は、その些細な疑問・認識のずれを修正することがとても大事だったのだろうな……と、同じプロとして仕事をしている今はよくわかります。

プロだからこそ、対価を払って疑問点をつぶしてくことは大切だと思います。

プロだからこそ、対価を払ってアップデートし続ける

さて、なぜこのような思い出話?をしたのかというと、私も時々オンラインで英会話レッスンを受けているからです。

通訳者として独立し、幸運なことにたくさんのクライアント様から依頼を受け続けることができています。

でも、通訳者の知識やスキルを「現状維持」していればいいのか?

プロとして、より良い通訳、今の時代に合った通訳ができるためにアップデートが必要ではないのか?

冒頭の話にあった通り、プロになっても泥臭い努力が必要だと思っています。

通訳者として仕事を終えたあとはほどよい満足感はあるけれど、やはり「あそこの通訳はもっと別の訳し方ができたのではないか?」「もう少し時代に合った言葉選びができたのではないか?」など、反省というか通訳マニア?としても「疑問・興味」が毎回わくのです。

そのために、ネイティブ話者といろいろな話をしたり疑問をぶつけたりすることができる英会話レッスンを定期的に受けるようにしました。

せっかくの機会なので、どんなレッスンを受けているのか、どんな話をして通訳に役立てているのか、を紹介します。

レッスンの頻度

最近は5回チケットを買ったため、2~3週に1回のペースで受講しています。後述するプラットフォーム(オンラインレッスンのシステム)で、以前は単発のレッスンが購入できたのですが、システムが変わったようでまとめてチケットを買う形になりました。2~3週に1回のペース、当初は多いかなと思いましたが、実際はいい感じです。

レッスンの形態

Verblingというオンライン英会話のプラットフォームを使っています。Verblingの特徴は、講師がみなネイティブで有資格者だということ。私はアメリカ人の先生に、日本時間で朝8~9時ごろに受けています。他のプラットフォームを使ったことがないので比較はできませんが、プラットフォーム、レッスン共に質には満足しています。

レッスンの効果

質問するために、英語の疑問を探そうという気持ちになれることです。普段であれば流してしまうようなことが、通訳の業務中でも、プライベートで英語の記事を読んでいてもたくさんあります。そういうことをメモしておいてちゃんと調べよう、つきとめようという気持ちになります。後述のように、自分では気が付かない発音の癖も指摘してもらえます。

この「普段であれば流してしまうこと」というのがとても大事だと思います。何となく…だったり、中途半端に理解していることって、しっかりと理解するまで調べないし、いざ説明しようと思っても上手く言語化できなかったりします。

そんな、あやふやな事を流さずにきちんとメモをするクセがつくのはとても役に立ちます。

そして、後述のように、自分では気が付かない発音の癖も指摘してもらえるのも大きなメリットです。

どんなことを話すのか?通訳にどう役立つのか?

基本的にネタは自分で用意しておきます。

たとえば、残念だね、というとき、英語ではIt’s a pity.や、 It’s a shame.などと言います。(他の言い方もありますが、ここでは省略します)この場合、pityとshameはどう違うのか?ということが長い間疑問だったので、先日質問しました。

語彙についてネットで調べるのではなく、生身の人に質問するメリットとして、その言葉がどの程度のかしこまった言葉なのか、または砕けた言葉なのか、ということが聞けます。

私は実はこの部分が弱点なので、教えてもらえるととてもありがたい部分です。また、質問している語彙や表現がよく使われているものなのか、そうでないのか、なども教えてもらえます。質問を考えることが自分の弱点を洗い出すきっかけになるのもメリットだと思います。

また、発音についてフィードバックをもらっています。最近だと通訳の現場で英語ネイティブのクライアントにrequestという言葉を言った時聞き返されたので、発音をじっくり見てもらい、指導してもらいました。

ほかには、私が英字新聞の記事を音読し、読み方や発音などについてフィードバックをもらったり、記事の内容について話し合ったりしています。アメリカのドラマを見ていて疑問に感じたことを話し、解説してもらったりもしています。

英語を使っていれば次々とわいてくるちょっとした疑問、ネタとして誰かと話してみたいことはたくさんあるもの。でも、仕事で出会う人が英語ネイティブだからと言って気軽にこういう話ができるわけではありません。それにクライアントは英語学習指導のプロではないため、聞く相手としても適切ではありません。そんなときにオンライン英会話を活用して、疑問を解消しています。

疑問を解消するために受け始めた英会話レッスンですが、朝レッスンを受けると、自分のなかの英語エンジンがいい感じに温められるという効用も感じています。日本語→英語の転換がスムーズにいく感じがする。

中学校から英語の学習を始めた私にとって、どれだけ習熟度が上がっても英語はしょせん外国語です。なので、これからも楽しく学びを続けていきたいです。