通訳者としての必須準備:いろいろな訛りにどう準備して臨んでいるか?【国の訛り編】

みなさんこんにちは。東京で英日の会議通訳をしている山本みどりです。

通訳案件をいただいた際の「通訳者としての必須準備」の1つに、訛りの準備があります。

同じ英語でも国によって様々な訛りがありますし、アメリカ国内でも、東海岸、西海岸、中西部、南部でそれぞれ発音が違います。

通訳者としては、クライアントがどんな訛りを持っているのか?を知って予め準備をしておかなければ、聞き取れなかったり、間違った解釈をしてしまったりする可能性があります。

通訳者の最低限のミッション、「適切な通訳ができる」ができるようにするため、訛りへの準備を怠ることができません。

今回は、国によって違う訛りにフォーカスして、私の準備方法やコツを紹介します。

訛りで想定できること。

「訛り」と一言でいっても、様々な事が考えられます。

・イントネーションの違い

・発音の違い

・表現方法、使う単語の違い

様々なケースを想定して、事前に準備をしておきましょう。

では実際にどのように調べるのか?コツをご紹介します。

YouTubeで検索する

検索する言葉 例:Indian accent

例として、インド系の訛りについて調べてみましょう。

具体的には、YouTubeで「Indian accent」と検索します。

すると、例えばこちらの2つの動画が出てきます。

訛りそのものを説明してくれる動画

その訛りをネタにしているStand up comedy

このように、YouTubeでは訛りの説明をしてくれたり、その訛りを使ってしゃべる動画などを見つけたりすることができます。

他の例も調べてみましょう。

検索する言葉: Filipino English

訛りそのものを説明してくれる動画

その訛りをネタにしているStand up comedy

YouTubeを活用するコツ

YouTubeでは訛りの説明や解説をしている動画がたくさんありますので、それを見て勉強します。

イントネーションの違いの動画はたくさんありますが、国による表現方法の違い、使う単語の違いなどを解説している動画も探すと良いでしょう。

インド英語独特の単語

インド人の首振りの意味

そして、その訛りを使って喋っている動画をひたすら聞いて、耳慣らしをしておきます。

ネイティブな訛りの人もいれば、訛りを真似しているコンテンツ(コメディーなど)もありますので、見ている動画がどのタイプかをしっかり把握しておくと良いでしょう。

ちなみに、今回調べていて、最初に紹介したインド訛りの解説動画は、パート4まであります。パート3では、簡単な聞き取りクイズもあり勉強になります。(私はほぼ全滅でした…)

最初は、真似をしているコメディーを見ると、大げさに訛っていてわかりやすいかもしれません。

トレバーノアはさまざまな訛りの特徴をとてもよく捉えていて、参考になります。

スピーカーのことをLinkedInで調べる

そもそも、クライアントがどんな訛りの方がわからないと意味がありません。そんな時は、スピーカーのことをLinkedInで調べておくと、出身地が大体わかります。大学の情報がわかれば、おそらくそこが母国であろうと想像できるのです。

また、LinkedInでは、ビジネスで使える言語を記載する欄があるので、それも参考になります。

わからなくても名前から推測する方法

インド系、中華系なら、Wang、Li、Zhang、Liu、Chenなどであれば中華系かな、Singh、Patel、Kumar、Gupta、Khanなどであればインド系かな、と推測できます。

common Chinese surnamesなどと検索すれば出てきますが、現場で出会う方々の名前が蓄積されていく、ということもあります。

スピーカーのことをYoutubeで検索する

色々書いてきましたが、スピーカー本人が喋っている動画が見つけられれば、最高の予習材料になります。訛りへの備えもできますし、動画で喋っていることと似たようなことを発言する可能性もあるのです。

企業のトップやシニアレベルの方であれば、見つかる可能性はまあまあ高いです。

昔は怯えることしかできなかったけれど(笑、でもほんと)

昔は電話会議と言えば、ポリコムをつないだ電話会議でした。

ポリコムがあればまだ良い方で、本当の電話機を使って、音声を開放して電話会議をすることもありました。

音声の品質は今よりかなり悪かったです。相手の顔も画面共有もないまま、それが聞こえてくる。音声だけを頼り強い訛りを訳すのはとても大変なことでした。

ある時、ベトナム人のスピーカーの電話会議の通訳をしたことがあるのですが(電話機越しでした)、訛りが強いのに、山本さんはよく食らいついていってくれた、という評価をクライアントがくださったことがありました。そういうことが評価になる位、訛りの負担は通訳者にとっては大きなものなのです。スピーカーの英語が訛りが強いからという理由で案件を断る通訳者もいる、と聞いたこともあります。

それを考えると、Zoomなどのオンラインプラットフォームで適切な音声環境で喋ってくれるスピーカーであれば、かなりの高品質の音が届くので、以前と比べて格段に音声環境は良くなりました。

以上、私が行っている訛りへの準備の準備でした。

事前準備をすることにより、当日は自信を持って臨むことができるようになり、本来の通訳に集中できるようになりました。

そして準備をすることで「相手に敬意を払うこと」にもつながっていると思います。

また、通訳を依頼する時は、通訳者がその国の訛りに対応できる人なのか?を事前に確認しておくのがいいと思います。

皆様のご参考になれば幸いです。